青花や染付は白色の器面に青色で模様を描いた陶磁器で中国で生まれたとされています。
青磁や白磁、黒磁にはない人の手により描かれた美しさはまた違った格別さがございます。
日本にも多く伝わり、有田焼などでもその技術は継承され、今なおつくりづづけられます。
長い歴史のある青花・染付について歴史や特徴を解説いたします。
最後に購入方法も説明いたしますので、お探しのはご参考ください。
青花(せいか)・染付(そめつけ)とは
白色の胎土を成形した素地の上に酸化コバルトを主成分とした絵の具で絵付けをし、その上から透明釉を掛けて高温で焼成した陶磁器です。
酸化コバルトは藍〜青色に発色します。
その模様の色にちなんで中国や朝鮮では青花(せいか)や釉里青(ゆうりせい)と呼び、日本では染付(そめつけ)と呼ばれます。
ちなみに英語では「Blue and White」と呼ばれており、翻訳でもしっかりと出る言葉として認識されています。
その模様の美しさから中国だけでなく、朝鮮や日本、インドやヨーロッパなどに伝わり珍重されました。
絵付に用いる絵の具は中国でも海外からの輸入品を使用していました。
元代末ころには南アジアから輸入されたスマルト、中国では蘇麻離青(すまりちん)やと蘇勃泥青(すぽにちん)呼ばれる、酸化コバルトを4〜6%溶かした濃紺色のガラスをもちいました。
天然のコバルト混合土である、日本では呉須(ごす)と呼ばれてる材料も用いられておりました。
明代初期にはイスラム圏から輸入された回青(かいせい)を使用しておりました。
しかし、その後輸入が少なくなり、中国国内で産出される土青や石青などと呼ばれる呉須も少量ながら使用されるようになります。
コバルトの純度が高く、素地にマグネシウムや珪酸が少ないものほど鮮やかな藍色に発色いたします。
近代ではドイツ産などの人造コバルトが多く使用されています。
青花・染付の歴史
青花が作れたのは唐時代後期の9世紀とされています。インドネシアの沈没船からその頃の染付小皿が発見されてることや、河南省の窯からも同様の染付陶片が発見されています。
隆盛し始めたのは元時代の景徳鎮窯で完成され、明時代には力強さのある永楽、宣徳、嘉靖などといずれの時代にも作られます。
清時代になると素地の白さが際立ち、コバルトの線も細く美しく青花の極限を極める名品が作られます。
朝鮮半島では李氏朝鮮時代に伝わり、中国同様に青磁から白磁に移行する流れの中で隆盛いたします。
李氏朝鮮では白磁は官窯でつくられており、青花も同様で分院手などの名品が生まれます。
日本では17世紀に朝鮮から渡来した朝鮮陶工により、有田焼(伊万里焼)にて中国を模して染付が焼かれました。
青花・染付の特徴
青花の絵付は透明釉の下に描く釉下彩技法の一種を用いています。
同じく酸化コバルトを用いた唐三彩の藍彩はであり染付とは言えません。
中国では素焼きをしていない素地に呉須で絵付けをし、その上から透明釉をかけて焼成する技法である「生掛け」を用います。しかし、極端な薄焼きのものは素焼きをすることもあったようです。
朝鮮半島も同様に生掛けでした。
日本では素地を素焼きしてから呉須で絵付けをし、その上から透明釉をかけて焼成するのが一般的です。
しかし、初期伊万里では生掛けをしている物が多く見られます。
中国の青花
中国の青花は元代の頃は線が濃く太く、清代につれて色味が淡く細く精細なものになります。
これは呉須の輸入量の減少により中国産の呉須を使用することになったことが理由と考えられます。
中国で縁起がいいとされる龍や鳳凰、波濤、牡丹唐草、魚藻文という様々な模様が描かれます。
またその器面の広さを生かし、山川や人物などの絵も描かれていきます。
朝鮮の青花
李氏朝鮮時代に中国に倣いコバルトを輸入して青花を焼造しました。初期は中国明代の作風を受け継ぎ、唐草文や牡丹文を器面にきっちり描いていました。
17世紀になると秋草文や魚文などを淡い線で余白をたっぷりととって描くようになりますが、これは呉須の輸入量の減少によるものと言われています。
また、「寿」などの漢字が描かれたものも多く作られました。
日本の染付
江戸時代初期に初期伊万里などで焼かれたものは中国の明代末ごろの影響を強く受けています。
その美しさは民用だけでなく藩の御用窯としても使用されました。
当美術館おすすめの青花・染付
景徳鎮 青花山川紋菜箙瓶
清時代(乾隆)に焼かれた景徳鎮で焼かれた品で、きめ細やかな純白な胎土に濃厚で青い線で山川の模様が描かれます。
山の間に流れる川の様子が太い線と細い線を巧みに用いることで奥行きのある風景となっており、裏面に描かれる一隻の船も情緒に溢れおります。
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李朝染付辰砂鹿鶴文面取瓶
李氏朝鮮時代初期から中期に焼かれた品で、李朝特有の八角形に面取される形状です。
胴には松と鶴、鹿と雲が器面いっぱいに描かれ、コバルトの量がまだ潤沢に使える時期の品であることがわかります。
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李朝分院手染付角徳利
4面の角形の器形で鳥樹と草花、蝶が染付で描かれます。
染付の材料であるコバルトが不足していた時期ですが、鳥は精巧であり、濃淡やグラデーションにより鳥の毛並みや尾が描かれます。
朝鮮半島では白磁は原則的に官窯でしか作られず、「分院窯(ぶんいんよう)」によるものでその染付の図柄は都から派遣された画院の絵師によるものであったとも言われております。
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青花や染付は世界的にも人気が高く、古美術の中では歴史も浅いため中国・朝鮮・日本での遺品が多く残されております。
しかしながら、大きめで絵も精巧な美術品として品質の高いものは数が少なく、また近代でのコピーも多く作られている品です。
そんな中、当美術館では厳選した青花の美術品を掲載しておりますので是非色々とご覧いただければと思います。
青花・染付の購入方法
青花や染付は人気の高さから市場にも多く出回っており、骨董屋や骨董市で多く見かけることができます。
しかしその反面、贋作や模倣品なども多いジャンルでもございます。
日本ものであれば、大皿などは本物であれば気軽に購入できる額ではないので、しっかりとした目利きが必要です。
中国物は景徳鎮製の物が時代を問わず比較的手に入れやすいですが、正直なところ絵付のクオリティーはピンキリであり、精巧な物であればあるほど高くなってきます。
景徳鎮系の民窯のものなどは比較的購入がしやすく、また元時代であればコバルトの使用量も多いため発色がとても綺麗で、かつ10万円台から購入ができます。
また、小壺や水盂といった小ぶりなものは染付の面が小さいですが、その分お値段もお安く5〜9万円といった値段でもいい品質の物が買えるのでおすすめです。
そして、李朝青花はもっともおすすめで、秋草手といった控えめの模様の物は雰囲気もとてもよく、そして値段も数万円代からとお手頃です。
ただし、李朝の官窯である分院手はクオリティーが数段上がるため値段も10万円から20万円代まで跳ね上がります。
本物を見極めることが難しい青花ですが、模様に気にいる物があれば真贋を気にせずに入手をしてみても良いかもしれません。
当美術館でも公式ストアで厳選した青花・染付を販売しておりますので、よろしければご覧くださいませ。
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