哥窯は宋代五名窯の一つとされており、青磁なのに白い釉薬の陶磁器が特徴です。
しかし、陶磁器の知名度に比べて、情報が少なく謎も多い窯でもあります。
そんな哥窯の不思議な陶磁器の特徴と歴史を所蔵品の写真と共に解説いたします。
ページの最後に当美術館収蔵のおすすめの哥窯の陶磁器もご紹介させていだだきます。
哥窯(かよう)とは
哥窯とは南宋時代に浙江省にあった青磁窯です。
伝説的な窯とされ不明な点がおおく、窯址も未詳です。
哥窯は青磁ながら白いのが特徴です。
哥窯は汝窯・官窯・定窯・鈞窯とともに五代名窯と称えられていました。
「哥哥窯」や「華夏鈞窯(かかきんよう)」とも呼ばれます。
哥窯の歴史
南宋時代に浙江省の龍泉窯には優れた作品を産んだ章生一、章生二という名工の兄弟がいました。その兄である章生一が開いた窯とされています。「哥」は中国語で兄の意味です。
哥窯があったとされる、竜泉窯址が近年調査され製陶の中心だった大窯付近で、南宋官窯の青磁に似た、貫入のある青磁が焼かれていたことがわかりました。
ただし、哥窯として伝世している青磁は多種多様で、南宋官窯などとの区別は難しいとされています。
哥窯の陶磁器の特徴
哥窯といえば、茶色から黒色の胎土に白い釉に大きな貫入が特徴です。
白い釉薬のため白磁とも言われるが、実のところ灰青釉で緑色がほとんど含まれない青磁に分類されます。
ガラス質はほとんど含まない失透性の釉薬であり、土の成分が浮き出て大きな黒や茶色の貫入とても美しいコントラストを生み出します。
灰青釉は鉄の含有量を調整し緑色のコントロールをした青磁です。
量によってやや緑色がかったものもあり、月白釉と呼ばれる緑青色の青磁も焼いておりました。
当美術館の哥窯の陶磁器
南宋 哥窯葫芦瓶
葫芦(もっこ)とは日本ではひょうたんのことで、南宋の中国で多く作られてきた形です。
くびれまで滑らかにつながる貫入は胎土から浮き出る黒色や茶色で大きくはっきりとしており、白い釉面とのコントラストがとても美しい品です。
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宋代 哥窯 花口洗
口縁は花のように波打ち、それに伴い胴の外面も凹凸がつきます。
鉄分の多い黒い土に白色の釉薬がたっぷりかけられ、失透性の釉薬でありガラス質はほとんどなくしっとりとした艶です。
全面に大きく力強い貫入が入り、胎土から浮き出る鉄分などで黒や茶色でくっきりとした線が出ます。
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