日本の骨董品コレクターの中で、固有名称として人気なものに「鶏龍山」がございます。
多くの美術館に所蔵されており、本物を探してオークションでも高値で取引がさるほどの人気の品です。
そんな粉青沙器の中のスターである鶏龍山がどういったものなのか解説をさせていただきます。
鶏龍山(けいりゅうざん)とは
鶏龍山とは忠清南道公州郡反浦面の鶏龍山山麓、鶴峰里に位置した李氏朝鮮時代の代表的中な窯のことです。
朝鮮・李朝時代初期の15〜16世紀に三島、刷毛目、白磁などを主に焼いておりました。
また、この窯で作られた粉青沙器を指して「鶏龍山」とも呼び、骨董品業界では陶磁器の名称としてが主流です。
主に雑器であった粉青沙器の中で、窯の名前で呼ばれる数少ない陶磁器です。
鶏龍山の歴史
主な活動期間は朝鮮・李朝時代初期の15〜16世紀になります。
鶏龍山は韓国のほぼ中央部に位置するやきものの産地で、山の稜線が鶏のとさかを頭にかぶった龍の姿に似ているということから付けられております。
当時、やきものを焼く条件である、窯を築くための傾斜地があり、燃料の木、水、そして焼き物に適した土が取れたことが産地となった理由です。
鶏龍山窯址は、韓国の窯の中で初めて発掘調査がされたことでも有名です。
その結果、6箇所の窯が確認され、多くの印花や粉青鉄絵の陶片が出土しております。
この発掘結果当時の骨董業界に大きな影響を与え、新たな高麗茶碗のひとつとして、また、唐津の源流説も唱えられとても話題になりました。
鶏龍山の陶磁器の特徴
鉄分を含む色のある土を使用しており、上から白土で化粧掛けをし美しく見せ、その上から透明釉を掛けておりました。
化粧掛けは白土の不足から刷毛目などの技法を用いるものもございます。
腰から高台にかけては白化粧をせず、畳付けを除いて前面に黄色みを帯びた乳白の透明釉がかけられます。
また、様々な意匠が施され、判を使用する三島模様、箆を使う彫三島などから始まりました。
代表的な鉄絵粉青は器の面には何本かの圏線を廻らし、胴の中央には鉄絵で模様が描かれます。
この模様は如意頭文 、草花文、唐草文、魚文などがあり、手慣れた速い筆致で描かれます。
代表的なものは鉄絵粉青ですが、そのほかにも三島、彫三島などがございます。
20cm程度の瓶が日本では徳利として人気が高いですが、その他にも皿、塩笥壺、茶碗など様々な形が作られております。
当美術館おすすめの鶏龍山の陶磁器
鶏龍山 粉青沙器鉄絵唐草文瓶
代表的な鶏龍山の形で胴にはくっきりと鉄絵による唐草文が描かれます。
圏線の様子や上からかけられた透明釉の様子までよくわかる品です。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
鶏龍山 粉青沙器鉄絵魚文瓶
高台を残し白化粧をした器面に、朝鮮半島特有の魚が2面描かれます。
日本でイメージされる鶏龍山といえば伸びやかでシンプルなものですが、美術館に収蔵されているものではこのような魚文も代表的です。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
鶏龍山は人気の高いコレクションでぜひ知っておきたい陶磁器の知識の一つです。
他の李氏朝鮮時代の白磁などとの違いも比べていただくのもおすすです。
当美術館の李氏朝鮮時代の陶磁器も、よろしければご覧くださいませ。
鶏龍山の購入や入手方法
鶏龍山の陶磁器は日本で特に人気であり、鶏龍山と名の付く陶磁器は実店舗やネットショップ、特にインターネットオークションで数多くございます。
その人気から倣って現代の作家で作っている方も多くおり、骨董品にこだわらなければ鶏龍山の雰囲気の良い現代物もおすすめです。
骨董品にこだわるのであれば、鶏龍山は注意が必要です。
鶏龍山は悪い意味での模倣品が多くあり、見分けることができないと偽物を掴む可能性がございます。
しかし、オークションなどにも比較的多く出品されるため、上手に本物を探すと10〜20万円くらいで掘り出し物を掴むことも可能です。
また、鶏龍山といえば鉄絵粉青の瓶などが人気であり、価値が高い傾向がございますが、鶏龍山製の陶磁器でも代表的な形でないものは本物も多く、お値段もお値打ちなものが多いのでそういったものをおすすめです。
当美術館でも公式ストアで鶏龍山などの李朝当時をを販売しておりますので、よろしければご覧くださいませ。
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