古陶磁の伝世品と発掘品の違いや見分け方について解説

骨董品や古美術陶磁器には伝世品や発掘品(出土品)という言葉がでてきます。
これは陶磁器がどのように発見されたものかを示す指標で鑑賞や収集には欠かせない要素の一つです。
そして実はこれだけでなく、この二つを組み合わせた発掘伝世品という品もございます。
伝世品、発掘品、そして発掘伝世品についてその違いを解説させていただきます。

伝世品(でんせいひん)

李朝割高台茶碗伝世品とはその名の通り世を伝わってきた品です。
制作されてから現在に至るまで愛玩され保管をされたり、人の手を渡ったものを指します。
特に秘蔵をされた品の場合、使用をした形跡が少なく状態がとても良いので、製造年月を見分けるのに技術を要するものがございます。
美術館にあるような伝世品は来歴があるものも多く、人や家系などを見るのも楽しみの一つです。
しかし、こういった由緒ある来歴のあるものだけが伝世品というわけではく、名のない個人の所有のものでも大切に伝世した品もございます。
日本の安土桃山時代以降の品は伝世品が多く、陶磁器の価値を決める一つの要因になっています。

発掘品(はっくつひん)・出土品(しゅつどひん)

発掘品発掘品もしくは出土品と言い、土の中や遺跡から掘り出された品のことを指します。
土中に埋められていたことから陶磁器の劣化は避けられません。
陶磁器が埋められた理由は様々あり、例えば廃窯になった窯跡から出土するものや、建造物や生活遺跡、墳墓の副葬品などがございます。
そのほかにも中国においては皇帝が変わる際に、伝世をさせずに処分という目的で埋めることもあったようです。
そういったものは研究のために発掘や、また建造物を建てる際に土の中から出土することがあり、発掘品として世に出回ることとなります。
特に中国の唐~宋代~明頃の陶磁器に多く、意外にも美術館に所蔵されているものや販売されているものには発掘品が多く含まれます。
しかし発掘品であるから悪いというわけではなく、数百年から1000年という時間や中国の歴史を考えると伝世しているものの方が少ないのは当たり前です。
発掘品でなかったとしても、後述の発掘伝世品である可能性が高くなります。

発掘伝世品(はっくつでんせいひん)

製作された後に一度は埋められたが、その後発掘されて現代まで伝世された品です。
例えば日本であれば平安時代に作り一度は埋められたものの、安土桃山時代に発見され現代まで伝世したもの。
中国であれば宋の品が元時代に埋められたものの、明時代に発掘され現代まで伝世したもの。
このように現代より早い時期に発掘され伝世品と発掘品の両方の側面を持ったものを発掘伝世品と呼びます。
発掘伝世品は発掘品に比べて状態の良いものが多く、骨董品としては狙い目です。

伝世品と発掘品の価値の違い

単純に陶磁器の状態の良さで測ると発掘品よりも伝世品の方が価値が高くなります。
発掘品は長く土中に眠っていたため、変色やシミ、カセといった劣化が少なからず起きてしまいます。
それに比べ伝世品は使用に伴う劣化程度です。
また、名家に秘蔵をされていたようなものの場合、真贋が確かなものも多く、価値は高くなります。

しかし、昨今においては発掘品が必ずしも悪いもでもなくなってきております。
前述の通り、1000年も経っているものが伝世されているものの方が少なくなっており、発掘品の中にも新発見と呼べるような歴史的価値が高いものも増えてきております。
特に中国においてはそのような発掘品は文化財としての価値高く、美術館や博物館での研究対象であり収集をするものではなかったのですが、一般にも愛玩する人が増え、コレクターにも受け入れられるようになりました。
それこそ美術館では見たことのない形や模様の陶磁器も古い時代の陶磁器として認められ、その価値は上がってきております。

伝世品と発掘品の見分け方

伝世品の場合は大切に保管や手入れをされていたこともあり、使用に伴う細かな傷やシミなどはあります。
カセ(釉薬の艶の劣化)も時間の使用の程度により起こりますが、程度は軽いものが多いです。
それに対し、発掘品は土中に埋まっていたこともあり、広範囲に広がる変色やシミができているものがあり、またカセも強くなる傾向がございます。土の付着が残るものは明らかに発掘品です。

土の付着した発掘品

土の付着した発掘品

このように状態で判断するのが一般的ですが、必ずしもこれで判断できるわけでもございません。
最近は発掘品を綺麗にする技術も進化してきており、伝世品と見間違うものもでてきております。

また、箱や箱書きがあるものが伝世品と言われることもございますが、箱や箱書きは誰でも用意ができるため信頼をそれに委ねるのはよくありません。
箱美術館にあるような名品では信頼ができますが、それ以外はとても疑惑があり人を騙すために箱書きを用意したり、箱と中身を入れ替えることもするほどです。
そのため、箱と箱書きのみで伝世品と判断はするのはとても難しいのです。

 

伊山大策

伊山大策

名古屋ビジュアルアーツ写真学科在学中より瀬戸焼の陶芸作品撮影を続ける。11年前に愛知の古美術研究にて陶磁器の知識を学ぶ。写真スタジオに3年勤務したのち、広告やWEBサイトの制作を手掛けその経験を活かし、古陶磁美術品の良さを広めるために当サイトを開設いたしました。

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