鈞窯(きんよう)とは。宋代名窯の歴史と特徴。美しい澱青釉と紫斑の織りなす陶磁器

鈞窯は中国宋時代の五大名窯のうちの一つとされる窯です。
鮮やかな水色の澱青釉の中に浮かぶ紫紅釉の紫色の斑紋の陶磁器は妖艶で独特な魅力がございます。
宮廷でも愛されました独特の陶磁器の特徴や歴史を当美術館収蔵の品の写真と共に解説をいたします。
ページの最後に当美術館収蔵のおすすめの鈞窯の陶磁器もご紹介させていだだきます。

鈞窯(きんよう)とは

中国の宋、元時代の名窯の一つで今の河南省禹県にございました。
この場所が明代初期に鈞州と呼ばれていました。
鈞窯の陶磁器は主に澱青釉や紫紅釉の陶磁器が多いですが、その他にも青磁や鉄絵陶もございました。
窯の名前として使われていた鈞窯ですが、この特徴的な陶磁器を指して鈞窯という言葉が使われています。

鈞窯の歴史や場所

宋代・元代にあった五大名窯のうちの一つの窯です。
明代初期の鈞州にあり、その窯址は河南省禹県八卦洞(かなんしょううけんはっけどう)にて発見されています。そこから多くの澱青釉や紫紅釉の陶磁器が発掘されています。
鈞州にあった窯だったから鈞窯と呼ばれます。
宋時代の名窯として数えられていますが、澱青釉の陶磁器を多くに焼造されたのは元時代以降と考えられます。

鈞窯の特徴

澱青釉と紫紅釉

素地は半透明で澱青釉(でんせいゆう)と呼ばれる、澄んだ青みの失透性青白色釉のが施し還元焔焼成による焼き物が有名です。
澱青釉は珪酸(けいさん)と燐(りん)を成分に多く含むことで乳濁しています。
この澱青釉の青は青磁よりも水色が強く、とても鮮やかで綺麗な色をしています。
澱青釉は中国では天青釉と呼ばれています。

鈞窯にはもう一つ、紫紅釉と呼ばれる濃い紫色をした釉薬の陶磁器も多くございます。
これは青白色釉に銅分を加えることで発色をしております。
紫紅釉のみを使用した陶磁器もございますが、鈞窯では澱青釉と合わせて施釉するものも多く、澱青釉の上に不規則に紫紅釉を流しかけることで、澱青澄んだ青みと上品な赤紫の斑紋のコントラストが美しい陶磁器が出来上がります。

鈞窯 澱青釉紫斑斗傘碗

鈞窯の紫斑

釉紫斑や澱青釉紫紅斑などと呼ばれており、宋代では珍しい華やかな陶磁器です。

月白釉

乳白がかった失透性で淡青色の釉薬は鈞窯では月白釉と呼ばれます。
月白釉は北宋汝窯を思わせ、青磁釉の一つとして考えられ、藁灰を主成分とすることで乳白した青磁釉を作り上げます。
乳白しているため貫入も目立たないのが特徴です。

鈞窯 月白釉三足香炉

月白釉

当館おすすめの鈞窯の陶磁器

鈞窯では鉢,碗,皿,香炉,壺,瓶,植木鉢などの沢山の器形の陶磁器が焼かれていました。
当美術館にある鈞窯の陶磁器をご紹介いたします。

鈞窯 澱青釉紫斑斗傘碗

鈞窯 澱青釉紫斑斗傘碗

鈞窯の特徴である珪酸とリンを多く含む失透性の澱青釉を全体に施し、淡い水色をしています。
そして、銅を含む釉薬を見込みに流し掛け、紫色の模様、紫斑を描いています。
しっとりとした艶のある淡い青と紫のコントラスト美しい品です。
斗笠碗は鈞窯では珍しい形状です。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

鈞窯 澱青釉紫斑 双龍耳壺

鈞窯 天青釉紫斑 双龍耳壺

澱青釉と紫紅釉が混ざった、これぞ鈞窯という作品です。
斑紋はくっきりしていますが、拡大してみると青に馴染んでおりとても美しいです。
龍のモチーフがついており位の高い人が使っていたものと考えられます。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

鈞窯 月白釉三足香炉

乳白がかった淡い釉色は北宋汝窯を思わせる美しさで、均一にかけられ綺麗に口縁部が透けます。
丸く膨らんだ胴に口は大きく開き、2段になった小さな三足と間には針目跡が残り、近隣にあった汝窯との関係性を感じます。

鈞窯 月白釉三足香炉

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

鈞窯の陶磁器を見るなら陶磁オンライン美術館で

鈞窯の一覧

当オンライン美術館では他にも数多くの鈞窯の美術品を掲載しています。
澱青釉に紫斑紋が浮かび上がる艶やかな陶磁器を様々な形で見ることができますので是非、ご覧ください。

 

伊山大策

伊山大策

名古屋ビジュアルアーツ写真学科在学中より瀬戸焼の陶芸作品撮影を続ける。11年前に愛知の古美術研究にて陶磁器の知識を学ぶ。写真スタジオに3年勤務したのち、広告やWEBサイトの制作を手掛けその経験を活かし、古陶磁美術品の良さを広めるために当サイトを開設いたしました。

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