京都府で陶磁器・古陶磁器(骨董品)が展示されている美術館や博物館をまとめました。
京都は歴史的にも帝の都としても栄えた場所であり、鎌倉時代から安土桃山時代にかけて多くの美術品が集まりました。
そのため、美術館も多く、他の地方と違い寺や神社が多くの美術品を保有しております。
中でも大徳寺龍光院は国宝の「曜変天目」の3つのうちの1つを所有している寺として有名です。
代表的な作品もまとめておりますので、ぜひお出かけに研究にご利用くださいませ。デートにもおすすめです。
美術館は時期によって展示物が変わる他、臨時休業や営業時間の変更もございますので、公式ホームページなどで必ずご確認し訪館くださいませ。
その他地域、東京・愛知・大阪・福岡の美術館もまとめております。
目次
京都国立博物館(きょうとこくりつはくぶつかん)
京都府京都市東山区にある博物館で、ロダンの「考える人」の像があることで有名です。
平安時代から江戸時代にかけての京都の文化を中心とした文化財を収集、研究や普及活動を行っております。
国宝29件、重要文化財200件を含む収蔵品8130件を収蔵されています。
また寄託品として、国宝88件、重要文化財615件を含む総数6,520件があり、京都では最大級の収蔵数となります。
陶磁器に国宝こそございませんが、京の茶の湯の文化で珍重された茶碗や多くの青磁を見ることができます。
陶磁器を中心とした特集展示が頻繁に行われておりますので、いついっても楽しむことができます。
京都国立博物館おすすめの美術品
玳玻天目鸞文碗(重要文化財)
玳玻天目は黒釉の上に形を置き、上から灰釉を二重がけすることで模様を描きます。鳳凰を描き鸞天目(らんてんもく)とも呼ばれます。加賀前だけ伝来の屈指の名碗で、美術館で見れる数少ない玳玻天目です。
唐三彩馬俑(重要美術品)
馬俑(ばよう)陶磁器で作られた馬の置物で古代中国で死者を埋葬するために作られた副葬品です。当三彩の副葬品の中でも馬の毛並みひとつまで手の込んだ作りの大変見応えのある品です。
白磁陰刻蓮華牡丹文瓶
高麗白磁の名品で、肩に唐草文と胴の4方に蓮と牡丹の折枝文を交互に陰刻します。カオリン質の胎土に、わずかに緑褐色した透明釉が施されます。
住所:〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
最寄駅:JR京都駅下車、D2のりばから市バス206・208号系統にて「博物館三十三間堂前」下車徒歩すぐ
営業時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:京都国立博物館
承天閣美術館(じょうてんかくびじゅつかん)
京都府京都市上京区の相国寺にある美術館です。相国寺および金閣寺、銀閣寺などが所有する文化財を収蔵しており、国宝5件(2件)、重要文化財145件があり、中には閉館した萬野美術館(大阪市)から国宝・重要文化財を含みます。
数少ない陶磁器の国宝である「玳玻散花文天目茶碗」を見ることができます。
承天閣美術館おすすめの美術品
玳玻散花文天目茶碗(国宝)
国宝として唯一の玳玻天目茶碗です。玳玻天目は黒釉の上に型を置き、上から灰釉を二重がけすることで見込みに梅花を描きます。そのことから梅花天目とも呼ばれております。
玳玻天目の中でも模様が特に鮮明で国宝にふさわしい精巧さです。
砧青磁茶碗 銘雨龍
鹿苑寺(金閣寺)所蔵のものです。朝顔形の形状に砧青磁とも言われる青磁釉が厚くかけられます。外側の有溜りを「雨雲」にニュウを止める鎹を「龍」にみたて銘が付けられたと考えらえます。
緑釉四足壺(重要文化財)
茶の湯の水差しとして用いられたもので、丸い胴に小さな4足がつきます。全体に深みのある緑釉が施されます。武将であり、茶人であった織田有楽斎が送ったとされる品です。
黄瀬戸珠光天目茶碗
黄瀬戸の淡い黄色の釉薬がかかりますが黄瀬戸茶碗と違い、中国の天目茶碗の形を写して瀬戸で焼かれたものです。口縁に銀の覆輪がかかります。中国の天目と違う明るい色調の天目を是非見比べてください。
住所:〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入 相国寺内
最寄駅:地下鉄烏丸線「今出川駅」徒歩8分
営業時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:承天閣美術館
大徳寺龍光院(だいとくじりょうこういん)
京都府京都市北区にある寺院で国宝・重要文化財の建物や美術品を多数所有し、国宝の「曜変天目」の3つのうちの1つを所有していることでも有名です。
しかし、美術品は非公開であり特別公開の類も行っていない、拝観謝絶の寺院のため、龍光院の所有物は他の美術館に特別展示がされるときに見ることができます。2019年にはMIHO MUSSEUM(滋賀県)で展示が行われました。
大徳寺龍光院おすすめの美術品
曜変天目茶碗
国宝の「曜変天目」の3つのうちの1つです。安土桃山時代の商人であり茶人であった津田宗及が所持し、後に龍光院へもたらされます。見込みには小さめの銀色の斑紋が不等間隔に並びその周りに青、紫、緑、黄色の光彩が生じます。曜変天目の中でも一番侘びた雰囲気です。
3碗の中で目にする機会が最も稀な作なので、公開をされる際に必ず足をお運びください。
油滴天目(重要文化財)
喫茶用の天目としては小ぶりで背が低い。金時代の天目で建盞の油滴と違い黒釉は薄いが大きな美しい油滴斑が浮かびます。津田宗及より龍光院に伝わったものと言われます。
大井戸茶碗(龍光院井戸)
高麗茶碗の一種である井戸茶碗のうち、大ぶりのものを大井戸茶碗と言います。
全体に現れた大きなシミである雨漏りが見どころです。千利休から津田宗及へ伝わったものです。
※大徳寺龍光院の所蔵する美術品に関しては他の美術館での展示となり寺院での展示はございません。
住所:〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町14
最寄駅:地下鉄「北大路」徒歩15分
樂美術館(らくびじゅつかん)
京都府京都市上京区にある美術館で、樂焼窯元・樂家に隣接して建てられています。
桃山時代に始められた樂焼の歴代作品を中心に茶道工芸美術品などを鑑賞することができます。
現代にも続く450年の伝統を見ることができる美術館です。
年4回樂焼と茶道美術の企画展を開催しており、また手にとって鑑賞できる企画が行われているのも特徴です。
樂美術館おすすめの美術品
二彩獅子像(重要文化財)
初代長次郎作の楽焼の獅子像です。後ろ足をあげ、獲物を捕らえるようような躍動感にあふれた見応えのある獅子です。装飾性や造形的変化を抑えた長次郎茶碗の静の世界とは対極的ともいえます。
黒樂筒茶碗 村雨
三井総本家に伝わった本阿弥光悦の名作です。胴にぬった黒飴釉の景色から雨雲の銘がつきます。加賀、時雨、鉄壁、有明、紙屋、喰違と合わせ光悦七種とされます。
飴釉樂茶碗 立峯
本阿弥光悦作らしく、自由な発想の歪んだ器形が見どころです。
住所:〒602-0923 京都市上京区油小路通一条下る
最寄駅:京都市バス「堀川中立売・一条戻橋」徒歩3分、地下鉄丸線「今出川駅」6番出口より徒歩13分
営業時間:10:00〜16:30
休館日:月曜日(祝日を除く)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:樂美術館
古田織部美術館
京都市北区にある美術館で、茶人であった古田織部に関する茶道具やゆかりの品が展示されています。
古田織部は利休亡き後、「天下一」と称された武将茶人で、陶磁器の製作にも携わっていました。
前衛的・刺激的な作品は「織部好み」と言われ爆発的な流行を見せたほどです。
常時4、50点を展示し、年2、3回、企画展が行われています。
織部焼をはじめ、志野焼や本阿弥光悦、伊達政宗などの遺物も見ることができます。
住所:〒603-8054 京都府京都市北区上賀茂桜井町107-2 B1
最寄駅:地下鉄「北山駅」徒歩3分
営業時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:古田織部美術館
高麗美術館
京都府京都市北区にある美術館であす。高麗青磁・朝鮮白磁や、考古資料、絵画、民俗資料など、日本で唯一の韓国・朝鮮の専門美術館です。
在日朝鮮人一世の鄭詔文の収集品をもとに創設され、1700点の美術工芸品が収蔵されます。
収蔵品である朝鮮の美術品はすべて日本で蒐集されたもので、鉄砂帆船魚文壺、青磁象嵌牡丹文扁壺、官窯の白磁壺を見ることができます。
住所:〒603-8108 京都府京都市北区紫竹上ノ岸町15
最寄駅:京都駅より市バス・西賀茂車庫前行きに乗り「鴨川中学校前」 徒歩すぐ
営業時間:10:00〜17:00
休館日:水曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:高麗美術館
北村美術館
京都府京都市上京区にある美術館で、茶人であった北村謹次郎の収集品を保存するために設立されました。
茶道具を中心に綺麗寂びで堂上風な好みと評されたコレクションが折々のテーマにより春季・秋季に公開されています。
住所:〒602-0841 京都府京都市上京区河原町今出川南一筋目東入梶井町448
最寄駅:京都駅より市バス4・17・205系統乗車「河原町今出川」バス停下車 徒歩2分
営業時間:10:00〜16:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)※企画展開催中のみ開館
ホームページ:北村美術館
近藤悠三記念館
京都府京都市東山区にある記念館です。陶磁器染付の分野で国定重要無形文化財保持者、近藤悠三の初期から晩年までの作品を展示されています。
「古染付」や「祥瑞」などの染付の美しい陶磁器を見ることができます。入館料が無料なので気軽に来館ができます。
住所:〒605-0862 京都市東山区清水 1-287
最寄駅:JR京都駅より市バス206系統「五条坂」よりすぐ、京阪「京都清水五条駅」 徒歩15分
営業時間:12:00〜17:00
休館日:火・水曜日など
ホームページ:近藤悠三記念館
野村美術館
京都府京都市左京区にある美術館で、野村證券の創業者である野村徳七のコレクションが収蔵されます。
茶道具、能面、脳装束をはじめ、重要文化財7件や重要美術品9件がございます。
住所:〒606-8434 京都府京都市左京区南禅寺下河原町61
最寄駅:地下鉄東西線「蹴上駅」徒歩約10分、京都市バス「南禅寺・永観堂道」徒歩5分
営業時間:10:00〜16:30
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、開館期間あり(春季 3月上旬ー6月上旬 /秋季 9月上旬ー12月上旬)
ホームページ:野村美術館
家で楽しみたいならオンライン美術館もおすすめ
陶磁器の美術品を家でも楽しみたい、遠くに住んでいるから行くのが難しい、そういった方には当オンライン美術館もおすすめです。
「陶磁オンライン美術館」は中国・日本・朝鮮半島などの東洋の古美術陶磁器を美麗な写真を掲載しております。
写真はさまざまな角度で撮影し、展示されている美術館では見ることのできない高台(底)までじっくりと鑑賞ができます。
これから美術館をめぐる事前の勉強にもなりますので是非ご覧くださいませ。
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