大阪府で陶磁器・古陶磁器(骨董品)が展示されている美術館や博物館をまとめました。
大阪は室町時代以降の堺商人により多くの陶磁器が輸入され、日本の陶磁器の歴史において重要な地域です。
そのため、今でも多くの美術品が大阪に残されており、それを展示している美術館が多くございます。
代表的な美術品もまとめておりますので、ぜひ参考にお出かけください。美術館デートにもおすすめです。
美術館は時期によって展示物が変わる他、臨時休業や営業時間の変更もございますので、公式ホームページを必ずご確認し訪館くださいませ。
その他地域、東京・愛知・京都・福岡の美術館もまとめております。
目次
藤田美術館(ふじたびじゅつかん)
大阪市都島区にある東洋古美術を中心とした美術館です。
実業家の藤田伝三郎とその子である、藤田平太郎、藤田徳次郎のコレクションを展示しております。
展示物は陶磁器のみならず、国宝9件、国の重要文化財53件を含む仏画や墨絵、彫刻、金工などの名品が数千点所蔵されています。
そして、国宝である「曜変天目茶碗」の3点のうち1つを所蔵している数少ない美術館です。
2022年4月にリニューアルしたばかりでとても綺麗な美術館です。
藤田美術館おすすめの美術品
曜変天目茶碗(国宝)
国宝である三碗の曜変天目のうちの一つで、唯一外面にも曜変が現れています。
見込みの丸い斑文とオーロラのような青い帯状の輝きが入り、夜空の景色のようです。
水戸徳川家伝来に伝来したものです。
肩衝茶入 瀬戸(重要文化財)
江戸時代の茶人である小堀遠州が愛した古瀬戸の肩衝です。唐物(中国製)の茶入れを参考に日本で作られたもので、中国のものにはない独特な卵形をしています。遠州が付けた「在中庵」の銘がついています。
砧青磁茶碗 銘 満月
高台から口にかけて端正な中国青磁の碗で、側面は蓮の花のように模様付けされ釉薬に濃淡がつきます。
砧青磁と呼ばれるにふさわしい色合いで、口縁部に金の覆輪が映え、銘にふさわしい気品を感じる作品です。
住所:〒534-0026 大阪市都島区網島町10番32号
最寄駅:JR東西線「大阪城北詰駅」徒歩1分、京阪電鉄「京橋駅片町口」徒歩10分、大阪メトロ長堀鶴見緑地線「京橋駅」徒歩7分
営業時間:10:00〜18:00
休館日:年末年始など
ホームページ:藤田美術館
大阪市立東洋陶磁美術館(おおさかしとうようとうじびじゅつかん)
大阪市北区にある東洋の陶磁器の専門の美術館です。2024年4月にリニューアルいたしました。
世界的に有名な「安宅コレクション」を中心とし、中国・韓国陶磁から日本陶磁まであり、国宝2件、国の重要文化財13件を含む約4000点が収蔵されています。
また、李秉昌や濱田庄司作品なども寄贈を受け近代の作家の作品も見ることができます。
中には陶磁器が最も美しく見れるとされる自然光展示室はとても素晴らしいです。
膨大な量の収蔵品をもって、一年を通して様々な企画展を見ることができますので、飽きることがございません。
大阪市立東洋陶磁美術館おすすめの美術品
油滴天目茶碗(国宝)
最も有名な油滴天目茶碗で、油滴天目としては唯一の国宝です。
南宋時代に建窯で作られたもので、豊臣秀次、西本願寺、三井家を経て若狭酒井家伝来いたしました。
飛青磁花生(国宝)
青磁釉上に鉄斑を散らし、日本では「飛青磁」と呼ばれ、茶人らに珍重されていました。
釉色と鉄斑の現れ方がともに優れた作例のひとつです。
鴻池家伝来品であり、類品はイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館とスイスのバウアー・コレクションなどに見ら海外でも評価されております。
色絵 菱畳地瓢箪文 大皿
古九谷様式色で鮮やかな菱形の幾何学意匠の上に、瓢箪が大胆に描かれた大皿です。
大皿は宴会などのハレの場で使用され、大名らのステータスシンボルの一つであり、古九谷の大皿には同意匠のものがほとんどありません。加賀藩前田家による特注品であった可能性が考えられる作品です。
木葉天目茶碗
本物の木の葉を装飾とした木葉天目で、吉州窯で焼かれた天目の中でも異色作として知られます。
高度の技術によって自然の造形を映し出した姿は一見の価値があります。
住所:〒530-0005 大阪市北区中之島1-1-26
最寄駅:京阪中之島線「なにわ橋駅」すぐ、地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」徒歩5分、地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」徒歩5分
営業時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:大阪市立東洋陶磁美術館
和泉市久保惣記念美術館(いずみしくぼそうきねんびじゅつかん)
大阪府和泉市にある美術館で多くの中国の美術品が収蔵され、その中には青磁を中心とした陶磁器もございます。
常設として中国の工芸品があり、青銅器も多く展示されているため、青銅器から陶磁器への関係性なども学ぶことが可能です。
数少ない青磁の国宝や重要文化財の唐津なども展示されています。
和泉市久保惣記念美術館おすすめの美術品
青磁 鳳凰耳花生 銘万声(国宝)
龍泉窯の青磁は日本に多く輸入され、寺院や茶器として賞賛されました。
龍泉窯の代表的な形で、砧形に鳳凰の耳がふたつ備えられた瓶です。
南宋時代の龍泉窯らしいやわらかい艶のある淡い青緑色の釉薬がかかります。
「万声」の銘は江戸時代に後西天皇によって名付けられ、徳川家光、東福門院、毘沙門堂に伝来した品です。
唐津 茶碗 銘三宝(重要文化財)
見込みが広く、ゆったりと口の開いた奥高麗茶碗です。奥高麗茶碗は李朝陶技の影響を受けた初期の唐津茶碗で桃山時代に佗び茶の流行で多く作られました。胴から口縁部にかけての反りの強さに特徴的で見応えのある茶碗です。
黄瀬戸 立鼓花入 銘旅枕(重要文化財)
鼓の胴を立てた姿に似ていることから立鼓花入と呼ばれます。黄味のある釉薬が全体にかかり、釉だまりでは古瀬戸灰釉に共通する緑味を含み、透明感があります。珍しい黄瀬戸の重要文化財です。
住所:〒594-1156 大阪府和泉市内田町三丁目6番12号
最寄駅:JR 阪和線「和泉府中駅」で下車し南海バス「美術館前」他、無料駐車場あり
営業時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、陳列替期間など
ホームページ:和泉市久保惣記念美術館
中之島香雪美術館(なかのしまこうせつびじゅつかん)
大阪市北区中之島にある美術館です。
村山龍平が収集した日本と東アジアの古い時代の美術品を所蔵する美術館です。
村上忠平は茶人であったため、重要文化財や重要美術品である茶道具が収蔵されており「志野松籬絵水指」「黒楽茶碗 銘古狐」「利休丸壺茶入」などを見ることができます。
住所:〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 4階
最寄駅:京阪中之島線「渡辺橋駅」・地下鉄四つ橋線「肥後橋駅」直結、地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」徒歩5分
営業時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:中之島香雪美術館
湯木美術館(ゆきびじゅつかん)
大阪市中央区にある美術館です。日本料理店「吉兆」の創業者である湯木貞一が初代館長であり、日本料理を文化として総合芸術の域にまで高めた方です。
茶の湯も研鑽を重ね、茶道具の収集をされており、そのコレクションが収蔵されております。
重要文化財13点、重要美術品3点があり、陶磁器としては「唐物茶入 銘紹鴎みほつくし茄子」「志野茶碗 銘広沢」「織部四方手鉢」など、主に奈良時代から江戸時代にわたる優品を見ることができます。
住所:〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町3-3-9
最寄駅:地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」徒歩3分、京阪電車「淀屋橋駅」徒歩7分、地下鉄堺筋線 「北浜駅」徒歩8分
営業時間:10:00〜16:30
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:湯木美術館
大阪市立美術館(おおさかしりつびじゅつかん)
※2025年春ごろまで休館中
大阪市天王寺区の天王寺公園内にある美術館です。陶磁器だけでなく、絵画や書、金工、漆工など8000点を超える収蔵品がございます。
個人蔵の品が多く、さまざまな時代や窯の陶磁器を見ることができ、「磁州窯 白地劃花珍珠地 牡丹文枕」や「景徳鎮窯 青花 瑞果文水注」などがございます。
また、中国陶磁器の基ともなった青銅もございますので、陶磁器を勉強するのに大変おすすめです。
住所:〒543-0063 大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
最寄駅:地下鉄「天王寺駅」徒歩5分、JR「天王寺駅」 徒歩5分
営業時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始、展示替期間など
ホームページ:大阪市立美術館
逸翁美術館(いつおうびじゅつかん)
大阪府池田市にある美術館で、阪急電鉄・阪急阪神東宝グループの創業者小林一三が蒐集した美術品を展示するために開館しました。
茶人とも知られ、茶道具や絵画を中心に重要文化財15件、重要美術品20件を含む5500件を超えるコレクションが収蔵されています。
「古伊賀耳付花入」「青花菱馬共蓋水指」「黒樂筒茶碗 惺斎追銘 老松 樂長次郎作」など茶の湯で使用されていた品を見ることができます。
住所:〒563-0058 池田市栄本町12-27
最寄駅:JR「上野駅公園口」徒歩10分、JR「鶯谷駅南口」 徒歩10分
営業時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、常設展はなく展覧会開催期間以外は休館です。
ホームページ:逸翁美術館
家で楽しみたいならオンライン美術館もおすすめ
陶磁器の美術品を家でも楽しみたい、遠くに住んでいるから行くのが難しい、そういった方には当オンライン美術館もおすすめです。
「陶磁オンライン美術館」は中国・日本・朝鮮半島などの東洋の古美術陶磁器を美麗な写真を掲載しております。
写真はさまざまな角度で撮影し、展示されている美術館では見ることのできない高台(底)までじっくりと鑑賞ができます。
これから美術館をめぐる事前の勉強にもなりますので是非ご覧くださいませ。
コメント