越州窯(えっしゅうよう)とは|東洋最古の青磁窯の特徴と歴史

世界の青磁の歴史において欠かせないのが南宋時代の越州窯で、現代まで伝わる龍泉窯や高麗青磁なども越州窯があったからと言っても過言ではありません。
越州窯の青磁は「秘色(ひそく)」と言われオリーブ色の美しい色を呈され、唐代には第一とされ愛されました。
世界中に影響を及ぼした越州窯の特徴や歴史を当館所蔵の品の写真を用いて解説いたします。
ページの最後に当美術館収蔵のおすすめの越州窯の陶磁器もご紹介させていだだきます。

越州窯(えっしゅうよう)とは

越州窯は中国の浙江省慈渓市やその周辺にあった陶窯のことです。越窯(えつよう)とも言います。
また越州窯はこの地域で作られた青磁の総称としても多く使われています。
この地域が古くには「越国」と呼ばれていたことからこの名前がつけられました。
東洋最古の磁窯とも言われており、その歴史は1000年以上にものぼります。

唐の時代に陸羽が記した茶の知識本『茶経』において、「お茶を美味しく飲める器」として越州窯が茶碗の中で第一だと称されたことにより、越州窯は全国で有名になっていきます。

越州窯の歴史

起源は漢代末で三国、南北朝時代に作り続けられ、寧波市や上虞県、杭州一帯で漢,六朝時代の窯址が発見されております。
後漢時代になって技術が高まり、青磁と呼ばれるようになる磁器を焼造し始めました。
その後、三国時代を経て西晋時代の3世紀末になると青磁は完熟していきます。

東晋から六朝後期には作陶数がゆるやかに減少していき、隋唐時代には低迷期に入ります。
しかし、中東以降、9世紀に入ると新しい越州窯が台頭し、再び作品が作られるようになり、五代時代には「秘色(ひそく)」と呼ばれる上品で優雅な青磁が作陶されるようになります。
周辺の窯に多大な影響を与え、国外でも高い評価を得た越州窯でしたが、時代が流れるにつれて11世紀中頃の北宋代には衰退し、青磁の大量生産は浙江省南部の龍泉窯にとってかわられることになりました。

ちなみに起源に関しては、春秋戦国時代にまでさかのぼると推察もされる説もあり、浙江省蕭山県や紹興県で初期の灰釉陶を焼いた窯が二十数ヶ所発見されています。

越州窯の青磁の特徴

越州窯 青磁 龍耳瓶

唐代後期の越州窯の釉薬

越州窯の青磁は灰褐色やオリーブ色をしており、いわゆる青磁と聞いて想像するような緑青色ではありません。
漢,六朝時代の越州窯は淡い灰色の胎土に透明に近い青磁釉を掛けたもので、唐代〜五代になると淡いオリーブ色の青磁釉を掛けて焼成しております。

越州窯筆洗の釉薬

宋代初期の越州窯の釉薬

越州窯の釉薬は時代により変わり、唐代後期には黄色が強く、宋代初期には緑色が強くなります。
「秘色」の淡い緑色の上品な色合いの青磁は、日本にも伝わり、平安時代の源氏物語や宇津保物語にも登場いたしました。
秘色は現代日本においても染物の色としてその名称が使われています。
また、釉下の素地に彫文様を施したものや、耳などの装飾を施したものも多く作られました。

当館おすすめの越州窯の陶磁器

当美術館にある磁州窯の陶磁器をご紹介いたします。

越州窯 青磁 龍耳瓶

Yue ware Vase with dragon design

この陶磁器は唐代に焼かれた青磁でオリーブ色の釉薬が特徴的です。
精巧な龍の装飾がされた耳がついています。
大きめで花瓶として使用できる大きさですが、龍の耳がついていることから、瓶をそのものを観賞用として使用していたものと考えられます。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

越州窯 弦紋三足筆洗

越州窯筆洗

胴径が12cmほどあるやや大きめの筆洗で、香炉として使われていた説や、酒器としての「尊」を模したものとも言われます。
底部から口径部にかけて胴が縦に真っ直ぐ伸び竹の節のような装飾がつけてあり、その箇所に越州窯の釉薬が溜まり濃く美しい発色をしております。
底部に脇に3ヶ所の少し外に反った脚はこの時代で人気のあった意匠です。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

 

伊山大策

伊山大策

名古屋ビジュアルアーツ写真学科在学中より瀬戸焼の陶芸作品撮影を続ける。11年前に愛知の古美術研究にて陶磁器の知識を学ぶ。写真スタジオに3年勤務したのち、広告やWEBサイトの制作を手掛けその経験を活かし、古陶磁美術品の良さを広めるために当サイトを開設いたしました。

オンライン美術館公式骨董店燦禾

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