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中国陶磁器にはどのような歴史があるの?
中国陶磁器は新石器時代から始まりました。時代によって様々な名作品が生まれており、現代でも多くの人を魅了しています。中国陶磁器を鑑賞する際には、ぜひ陶磁史の流れとともにお楽しみください。
中国の陶磁器には長い歴史がある
中国の陶磁器は、世界の美術品において長い歴史と伝統を誇るといわれています。中国の陶磁器は日本や世界に輸出されることで大きな影響を与えました。日本でも人気の中国陶磁器の魅力をより深く知るために、こちらでは中国陶磁器の歴史についてご紹介いたします。
新石器時代
中国の陶磁器の始まりは、新石器時代だと考えられています。この時代、日本では縄文土器や弥生土器が作られていましたが、中国の陝西、河南一帯では赤・黒・白などの色とりどりな「彩文土器」が普及していました。次第に黄河流域、華南、華東、台湾まで広がっていきます。
唐時代
この時代、長安などで「唐三彩(とうさんさい)」が作られていました。これは釉薬に銅や鉄などの金属酸化物を加え、酸化の炎色反応を用いて薄黄色、薄緑、深緑などに彩色されたものです。基本的に土の薄黄色、褐色、緑の三色を用いることから「三彩」と呼ばれています。
唐三彩の造形は馬・ラクダなどの動物、お椀・皿・壺・杯などの器物、貴婦人・下女・男の子などの人物に分けられます。その多くが洛陽近傍や長安の王侯貴族などの墳墓から出土しており、墳墓を華やかに装飾するための副葬用に使われていたといわれています。
また、末期には越州窯(えっしゅうよう)が台頭し、秘色(ひそく)と呼ばれるオリーブ色の青磁が作られました。北宋まで続き日本や朝鮮半島まで影響を及ぼします。
宋時代
この時代になると、中国の陶磁器はさらに進化します。「宋磁」と呼ばれ、長い歴史の中でもっとも完成度の高い焼き物が作られた時代として知られています。唐代末から宋代にかけて窯の技術が進歩し、石炭を使用することにより高火度の可能となり、硬く焼くことや釉薬をより溶かすことができるようになります。
宋時代の5大名窯とされているのは、定窯(ていよう)、鈞窯(きんよう)、官窯(かんよう)、汝窯(じょよう)、哥窯(かよう)です。
宋代は二つに分けられ、960年から1127までの開封に首都のある時代を北宋、1127年に金王朝の侵攻により南渡し杭州に首都を再建した時代を南宋と言います。
北宋時代には華北の汝窯という宮廷用の青磁を焼いていた窯があり、「雨過天青」とその美しさを評されましたが、稼働期間はわずか20年であり、世界でも数十点しか作品が見つかっていないことから、希少性が高いとされています。
唐時代から続いた定窯は胎土の品質向上と、象牙質の美しい白磁が焼かれ、朝廷のために貢納品にもなりました。
他にも民窯として青磁の耀州窯(ようしゅうよう)や掻落しや鉄釉磁器が有名な磁州窯(じしゅうよう)なども北宋に隆盛しました。
後に白磁や青花の名窯となる景徳鎮はこの頃より青白磁を焼き始め「饒玉」と賞賛を受け最高級品でした。
1125年の金王朝による侵略の影響で宋王室は南渡し、杭州に南宋の都を置き、新たに青磁窯である南宋官窯が築かれます。
他にも青い釉薬に紫斑が美しい鈞窯や、白色の青磁を生み出した哥窯など、後に5大名窯に数えられる窯が開かれます。
華南の龍泉窯(りゅうせんよう)の青磁は、平安から室町時代に日本にも多く伝わり、皇室や大名に珍重され、いまだに日本において人気がございます。
また、日本の国宝に指定されている「曜変天目」を代表とした天目茶碗を製造された建窯(けんよう)や吉州窯(きっしゅうよう)があるのもこの時代です。
このように様々な窯でその窯の特色を持った陶磁器が製造され、中国の陶磁技術が最も洗礼された時代として世界的に評価をされています。
明時代
この時代は、中国最古かつ最大の名窯である景徳鎮窯(けいとくちんよう)が陶磁器生産の中心になりました。赤、緑、黄、青、黒の釉薬で彩色した五彩の人気が高く、多く作られました。
また、染め付けや赤絵が流行したことで、景徳鎮窯では透き通るような薄い白磁にコバルトで草花や龍などのモチーフを描いた「青花磁器」がよく見られるようになります。景徳鎮窯で作られた作品は主要な貿易品の一つとして、アジア圏やイスラム圏などへ盛んに輸出されました。
清時代
技術の進歩によりさらに新しい色釉が開発され、ヨーロッパの七宝の技法を用いた「粉彩(ふんさい)」や「琺瑯彩(ほうろうさい)」といった上絵付技法も開発されました。宮廷画家らによって絵付けが行われていたことから、この時代の陶磁器は形・質の多様性と色鮮やかさにおいて、数々の中国陶磁器の中でも圧倒的な存在感があります。
また、この時代には宋代の5大名窯を賞賛し、陶磁器を模倣しており、仿汝釉、仿哥釉などと呼ばれ現代に遺例が発見されております。
陶磁オンライン美術館では中国陶磁器を数多く展示
中国の陶磁器は、新石器時代の彩文土器から始まっています。時代の流れとともに新しい釉薬や技法が開発され、現代でも愛される様々な名作品が生まれました。歴史のある中国陶磁器は美術館や博物館などで鑑賞することができますが、自宅にいながらでも楽しみたいという方にはオンライン美術館をおすすめいたします。
陶磁オンライン美術館では、中国・日本を中心とした陶磁器のギャラリーを公開しています。公開している古美術は、700年代から1500年代が中心です。定窯(ていよう)、鈞窯(きんよう)、官窯(かんよう)、汝窯(じょよう)など、窯・地域から気に入った作品を見つけることも可能です。1つの陶磁器につき様々な角度から撮った写真が10枚以上あり、高台や底など隅々まで鑑賞していただけます。また、特徴的な釉薬や模様の茶碗を拡大した写真も見ることができます。
オンラインショップもあり、こちらでは研究のために30年以上にわたって収集してきた中国・朝鮮半島を中心とした古陶磁を販売しています。古美術を楽しみたい、コレクションとして購入したいとお考えの方は、お気軽にご覧ください。
【古美術】陶磁器についてのお役立ちコンテンツ
中国宋時代の陶磁器を鑑賞するなら陶磁オンライン美術館
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