骨董品の陶磁器は古くに作られたもののため、少なからず劣化をしています。
そのため、現代の陶磁器と違い保管や干渉には注意が必要です。
古陶磁の保管方法について、何がどういった理由で問題となるのか、専門の保管道具には何があるのか詳しく解説させていただきます。
古陶磁で避けるべき5つの要素
骨董品の陶磁器は高所保管、高湿度(水分)、埃、直射日光を避けるのに加え、化学素材を避けましょう。
高所保管
陶磁器自体は硬質なものでございますが、強い衝撃には弱く、落下の恐れのある高所への保管や配置は避けましょう。
骨董品は外観からはわからない内部の劣化をしている場合もあり、ふとした衝撃で大きな亀裂へ発展する可能性もございます。
高湿度(水分)
陶磁器は釉薬の施されているものも多く、水分に強い器ですが、骨董品の場合は訳が違ってきます。
骨董品の陶磁器には劣化により、目でわかりにくいです貫入の隙間が大きく、また露胎部も多いので空気中の水分を吸収しやすくなっております。
その水分を吸収しすぎると素材が腐敗したり、シミやひび割れの原因になります。
そのため、湿気の多いところでの保管や湿気のこもり易い容器へ入れての保管はやめましょう。
また、極度の乾燥もあまり良くありません。
<水分を入れて実用する場合>
茶道具や花瓶として骨董品を使用する場合、どうしても水分と触れてしまい、劣化は早くなります。
多くの骨董品は観賞用の美術品ですので、水分を入れて使用することはおすすめしません。
しかし、骨董品を実用品として使用することも醍醐味の一つと考えるのであれば、使用には注意いたしましょう。
茶碗をお茶を飲むのに使用した後は優しく洗い、水分を拭き完全に乾燥してからしまいましょう。
花瓶は水に浸かりっぱなしになるため、なるべく数日程度の使用にとどめ、使用後は優しく洗いしっかりと水分を乾燥させてください。
どちらも連続して使用せず、日を空けるか、違う品とローテーションするのがおすすめです。
埃
埃を長期間放置すると、空気中の水分や油分吸収し粘り気を持って付着するため、長時間放置すると経つことで取れにくくなります。定期的に埃は優しく清掃してください。
直射日光
直射日光や紫外線は陶磁器の艶を消してしまい、また変色や退色の原因となります。
骨董品の陶磁器を飾って飾っておく際には、強い直射日光の当たる窓際などには配置しないよう注意が必要です。
しかし、長時間でなければ直射日光に当てていけないものではありません。
直射日光のような強い光で見る陶磁器は室内と違った美しさや発見がございますので、江戸時代の野点のように外で楽しむのもおすすめです。
化学素材
これは一般的にはあまり語られておらず、私の経験上からのお話ですが、化学素材に触れる状態での保管はお勧めしません。
陶磁器が割れないように緩衝材に包みたくなりますが、直接包んで保管すると素材であるポリエチレンやビニールが熱や水分などで分解され、陶磁器に張り付き取れなくなってしまう可能性がございます。
衝撃を吸収するために緩衝材を使用したい場合は綿などの布の上から包んでいただくことをおすすめいたします。
おすすめの保管方法
お気に入りの陶磁器はもちろんを飾っておいて構いません。
飾る場合には、高所、高湿度、埃、直射日光を避けれる場所に展示をすることがおすすめです。
しかし、出しっぱなしも骨董品には負担がかかりますので、いくつかのコレクションとローテーションしてあげ、時には保管をして休めてあげてください。
保管する際には布で包んで箱に入れましょう。
基本の保存方法
陶磁器しまっておく際には通気性のある硬質の紙製の箱や木製の箱に入れて保管をいたしましょう。
硬質の紙製の箱は文具店やネットショップでサイズが合うものをお探しください。
木製の箱であれば「陶磁器 箱」といったようなキーワードで検索いただくと、既製サイズの箱が販売されております。
一番メジャーである桐製の箱はクッション製、調湿、防虫に優れおすすめです。
箱にしまう際には傷を防ぐために綿や絹といった天然素材の布に包みます。
手芸用品店で販売されている布でも構いませんが、専用品の「うこん布」は見栄えも良く、品によっては防虫効果などもありおすすめです。
最近はネットショップなどでもご購入いただくことができます。
もし、衝撃などに不安があるのであれば、緩衝材などでは箱の隙間を埋めてください。
上級の保存方法
お気に入りの陶磁器をより大切に保管するのであれば、オーダーした木製の箱に、仕覆(しふく)に入れるのがおすすめです。
木製の箱はオーダー制作をしてくれる業者もあり、陶磁器のサイズに合わせて設えることで収まりも良く、また見栄えもとても良くなります。
同時に、茶道具であれば仕覆と呼ばれる専用の袋に入れることで更に高級感が増します。
仕覆は見栄えだけでなく、クッション製もあり陶磁器の保護にもなります。
陶磁器とぴったり合うサイズで好きな柄の布でオーダーもすることが可能で、既製品であれば5000円程度から購入ができおすすめです。
保管は湿度が高すぎる場所は避け、また細かい油分が舞い易いキッチンの近くは避けましょう。
箱に入れっぱなしも良くありませんので、たまには箱を開けて陶磁器の状態をチェックしてあげてください。
その際には併せて箱の中、布、仕覆、緩衝材も劣化やカビ、虫食いなどを確認をしてください。
しっかりとした箱であれば積んで保管もできますが、心配であれば積まないほうが無難です。
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