陶磁器を見る際には高台(底)を見て土やその作りから、時代や窯を特定するということがございます。
天目茶碗は特に真贋の鑑定によく使われます。
近年販売されている書籍ではこの高台を公開されているものも少なく、参考にしづらくなっております。
当オンライン美術館ではほとんどの高台の公開しており、これまで公開していなかった「毫変盞(曜変天目)」についても公開することとなったので、これを機にまとめました。
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目次
天目茶碗の高台の大まかな共通点
天目茶碗は産地による違いはあるものの、曜変天目や禾目天目を焼造した代表産地である建窯に倣い以下のような特徴を持ちます。
・天目茶碗の高台は胴に対して小さく
・少し高さがあり
・中央が削り込まれた輪高台である
中国でも他の産地の天目茶碗となると高台の高さや輪高台の太さが変わってきます。
建窯(けんよう)の天目茶碗の高台
建窯の高台は6〜10mm程度の高さを持ち、底は中央が削り込まれた輪高台となります。
輪高台の削り込みはそこまで深くなく、1〜2mm程度、縁は太く5mm以上あることがほとんどです。
毫変盞(曜変天目)の高台
当美術館で掲載している毫変盞について限定で高台を公開しています。
こちらの高台は北宋時代に作られたものであり、美術館に収蔵されている多くの天目茶碗より古いものとなります。
古い建窯でよく使われていた黒茶色で粘度のあるネットリとした土で、高台内の渦巻状の模様も多少荒くできています。
禾目天目の高台
同じ建窯でも南宋時代になると削り込みがしっかりされ、少し深めの輪高台も多くなります。
角が斜めに落とされ、精巧な作りになります。
吉州窯の天目茶碗の高台
玳玻天目などを焼造した吉州窯の高台は同じく輪高台ですが、とても低くほとんどが1mm程度の高さしか持ちません。
品によっては全く高さのないものもございます。
それに伴い輪高台の削り込みは浅く、また縁も細くできております。
土が乾いたものが多いこともあり、現存しているものではっきりとしたものは少ないです。
磁州窯(じしゅうよう)系の天目の高台
天目茶碗は北方でも作られており、磁州窯もその一つです。
しかし、建窯ほど形が統一されていません。
土は硬いものが多く、それに伴い畳付がクッキリはっきりと削られます。
和物天目の高台
日本でも室町時代以降に瀬戸窯や美濃窯で作られるようになります。
和物天目は中国の様々な窯の天目を模しており、高台の形も様々です。
建窯や磁州窯、茶洋窯(ちゃようよう)等を参考し作られていると言われています。
段付き白天目の高台
建窯に近い輪高台ですが、大きく、縁は少し細めです。
高台内の削り込みはやや深めにしっかりとされています。
菊花天目茶碗の高台
高台は建窯のものと形が異なり、角が落とされ中央が窪んだ形です。
茶洋窯(ちゃようよう)などの茶碗を参考にしたものと考えられます。
当オンライン美術館なら茶碗の高台も見れます
当オンライン美術館では、美術館ではみることのできない高台や底の写真も公開しております。
天目茶碗に限らず、高麗茶碗、和物茶碗の写真も掲載しておりますので、ぜひご参考ください。
所有されている陶磁器と見比べるのにお役立てくださればと思います。
美術館に行く前の予習、行った後の復習として是非ご覧いただければと思います。
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