中国陶磁の最高峰とされる汝窯(じょよう)、中国陶磁器のコレクターにも大変人気です。
雨過天青と呼ばれた美しい穏やかな水色の陶磁器の歴史や特徴を解説いたします。
汝窯の陶磁器の遺例は世界中で100点ほどしかないと言われておりますが本当でしょうか?
当美術館収蔵のおすすめの汝窯の陶磁器とともにその秘密に迫っていきます。
ページの最後に汝窯の購入や入手の方法も解説させていただきます。
汝窯(じょよう)とは
汝窯とは五代から北宋時代の末期(960〜1127年)に作られた宮廷御用達の窯で、主に青磁が製作されていました。
また、窯のことだけでなく、製品としての青磁のことを指して汝窯と言うこともございます。
河南省臨汝県付近一帯にあった青磁窯であり、北宋代には五名窯の一つとして陶磁器の中心でした。
台北 國立故宮博物院には清の皇帝である乾隆帝が収集したとされる北宋の汝窯青磁が21点所蔵されています。
北宋官窯と言えば基本的には汝窯のことを指します。
ごく短い期間の20年ほどしか生産されていないため、汝窯の作品はとても希少で世界でも100点にも満たないとされています。
しかしこれは故宮博物院やオークション機関がリスト化したもので実際にはもっと存在をしているのが現在の見解です。
北宋時代は陶磁器が盛んになり、華北地方では定窯(ていよう)、耀州窯(ようしゅうよう)、磁州窯(じしゅうよう)などでも多くの白磁、青磁などの様々な陶磁器が作られ、どんどん鮮麗されていきました。
汝窯の歴史や場所
汝窯は北宋時代の末期(960~1127年)ごろから始まり、生産期間はわずか20年と言われています。
現存の品が少ないこともあり、正しい時期については明らかにされていません。
汝窯のことがわかるのは南宋時代(1127~1279年)の周煇(しゅうき)の著書「清波雑志(せいはざっし)」に記されています。
それによると汝窯は北宋の宮廷の命によって作られた青磁のための窯であること、釉薬にメノウの粉末を入れていたこと、また、宮廷に納めることのできない品質のものは民間でも売られていたが、大変希少であったとも記されています。
汝窯の場所がどこにあったのかは謎に包まれています。
1980年ごろから発掘調査が開始されるようになり、宝豊県の清凉寺にて窯址が発見されていますが、これは民間向けの窯だったという説もあり、正確なことはまだわかりません。
汝窯青磁の特徴
サラサラとした白い土を使い、彫文もない灰白色の素地に底裏まできっちり全体に釉薬をかけて焼きます。
底の釉薬が触れないようにするために、焼成時に本体に支えをつけていました。
そのため、底部には基本3〜5点の針目跡が付いており、これが汝窯の特徴とも言えます。
釉薬の色は「雨過天青(うかてんせい)」、雨上がりの水分を含んだ空色に例えられるような、少し灰色を帯びた穏やかな薄い水色をしており、中国陶磁の最高峰とされる美しさでした。
南宋時代の周煇(しゅうき)の著書「清波雑志(せいはざっし)」によると釉薬に瑪瑙(メノウ)の粉を入れていたと記されています。
それにより汝窯青磁はピンク色の淡いピンク色の光沢が表面に表れ、神秘的な輝きを放っています。
清朝に汝窯を模した「仿汝釉」
明朝から清朝になると宋代の五大窯を賞賛し、景徳鎮にて陶磁器を模倣したと言われております。
汝窯を模したものを仿汝釉(ほうじょゆう)もしくは仿汝窯(ほうじょよう)呼ばれます。
この模倣はいわゆる悪い意味のコピーではなく、高い技術で再現されたため当時から美術品として高い評価がされています。
現代においても特に中国の骨董品の市場にて高値で取引がされます。
当館おすすめの汝窯の陶磁器
汝窯では皿(碟)・瓶・香炉、杯、碗など種類は多岐に渡ります。
当美術館にもいくつか所蔵品がございます。
汝窯青磁 菊弁紋碟
こちらの皿はその名の通り、菊の花びらの形状が模してあります。
花びらの枚数が奇数であり、非対称の造形は難しく貴重な品です。
31枚の花びらは皇帝が所持していたものと同様です。
底には3箇所の針支えがついています。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
汝窯青磁 双耳三足杯
この杯についている足は少し傾斜をしており外側に向かっている難しい造形です。
また、耳がついている汝窯三足というのもとても珍しい品です。
こちらも汝窯の特徴である3箇所の針支えが底にあります。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
汝窯鳥型筆洗
汝窯ではさまざまな形の陶磁器を製作しており、このような動物をモチーフとしたものもありました。
鳥の形を呈しており羽根で包み込むように器になっています。
汝窯の特徴である瑪瑙(めのう)によるピンク色の光沢がとてもわかりやすい品です。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
汝窯盤口折肩瓶
盤のような板状の口、肩は角張った形である盤口折肩瓶です。
中国河南文物考古学研究所に似た形状のものがあり、大変価値の高いものです。
口を盤状に真っ直ぐ横方向に綺麗に伸ばすのは難しですが、この品の精度は高く、曲がらずに焼成できております。
↓この陶磁器の詳細はこちら↓
当オンライン美術館では他にも数多くの汝窯の美術品を掲載しています。
汝窯は世界的にも公開されている美術品が少なく、これだけの数が揃うのは大変珍しいことです。
代表的な瓶から、透彫の筆筒、杯や皿など代表的な形状の名品を取り揃えてますので是非、ご覧ください。
汝窯の購入や入手方法
汝窯はとても希少で本物が販売品として市場に出回ることはほとんど無いと言っても過言でもありません。
もし、北宋時代の品が数万円で売られていたとしたら、それは慎重に考えた方がよいと思われます。
汝窯は認められた物が少ないと言われていましたが、中国の市場では近年になり多く取引がされるようになりました。
その額は高額であり数百万円といった金額は当たり前です。
このように本物の汝窯を気軽に入手することはできませんが、もしそれでも汝窯をコレクションに加えたいのであれば前述の仿汝釉(仿汝窯)は大変おすすめです。
仿汝釉は汝窯の特徴的な近い失透性の水色の釉薬に清朝の作陶の技術が相まってとても美しい仕上がりです。
金額も10万円台から購入することができ、日本のコレクターにもまだあまり知られておらず、これから価値が上がることが見込めます。
当サイトのストアでもいくつかの取り扱いがございますので、ぜひ一度ご覧くださいませ。
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