景徳鎮(けいとくちん)とは|中国最高の白磁と青花の特徴と歴史

景徳鎮は日本だけでなく世界的にも有名な陶磁器で、現在でも人気の高い陶磁器の一つです。
純白の白磁や絵付けされた青花(せいか)磁器の美しさは世界中のコレクターを魅了します。
景徳鎮は中国間代から続き、現代まで時代ごとに様々な陶磁器を焼いてきました。
そんな歴史のある景徳鎮について、当館美術品の写真を用いて特徴や歴史を解説いたします。

景徳鎮(けいとくちん)・景徳鎮窯とは

景徳鎮は世界的に有名である、中国を代表する陶磁器の名窯で窯は江西省景徳鎮市およびその周辺に広がっております。
中国最大の古窯であり、現代においても中国陶磁業界で第一位になります。
景徳鎮(けいとくちん)という呼ばれ方はこの窯だけでなく、この窯で焼かれた陶磁器そのものについても使われます。

初期には青磁が焼かれ、その後、青白磁や白磁、染付磁器(青花)など後世に名を残す陶磁器が焼かれております。
景徳鎮郊外の高嶺(カオリン)山からとれる高品質な磁器の原料である「高嶺土」を用い、世界に先駆けて高品質な白磁の生産がされます。
景徳鎮窯は元・明・清代を通して、様々な時代で皇帝たちを魅了しで官窯を設けられたこともあるほど、高品質な陶磁器を生み出します。
元・明時代には日本、ペルシャ、トルコ、アフリカ東岸といった各国へ輸出されるほど世界的に人気を博します。

景徳鎮の歴史

景徳鎮が登場するのは古くは漢、隋から初唐(7世紀)とも言われますが、考古学調査としては晩唐から五代(9〜10世紀)にかけてが始原とされます。
江西省東端の昌江南に焼き物の街が出来始めたことから、当初は「昌南鎮」と呼ばれ、目立った特徴のない青磁や白磁を焼いておりました。

北宋時代(960〜1127年)

北宋時代には饒州府の管轄下であり、作られた青白磁と呼ばれる青みのある白磁は表面が玉のようであったことから「饒玉」と美称を受け最高級品でした。
北宋の景徳年間(1004〜1007年)に朝廷により監鎮官を置き、景徳窯を建て、宮廷献上用の陶磁器が生産されるようになります。
この頃には焼き物の底に「景徳年製」の款が書かれます。
景徳年製の磁器は、美しい光沢と優れた品質でその名は天下に轟き、皇帝真宗により元号から取りこの地を「景徳鎮」と改めます。
それ以降、景徳鎮という名で呼び続けられます。

元時代(1279〜1368年)

元時代には景徳鎮の発展は重要な時期を迎えます。
「浮梁瓷局(ふりょうしきょく)」という宮廷により窯を管理する役所ができ官用の陶磁器が生産されます。
この時から景徳鎮の焼物産業には官営の磁器工房ができ、民窯とお互いに技術的な刺激を与え、焼き物の一大産地として発展していきます。
技術的には高嶺土に陶石を加えた材料を使いより白い素地となり、その上にコバルトで染付をする「青花」や酸化胴で下絵をした「釉裏紅」などの新しい種類の陶磁器を作り出すことに成功し、彩色陶磁の時代に入ります。

明時代(1368〜1911年)

明時代の初頭の永楽年間(1403~24)には皇室専用の官窯が設立され、工芸技術は極めて高いものとなります。
世界最大の陶磁器の工場となり、その製作はカオリンの発掘から窯焚きなど72工程に分業され、完成まで一ヶ月もかかりました。
最後の72工程目には陶磁器が無事に出来上がったことを童宾という神様に感謝する儀式とされ、陶磁器の格の高さが窺えます。
「祭紅」「五彩」「粉彩」といった陶磁器の一品が生み出されます。
明の嘉靖年間(1522~1566年)には海外での中国磁器の需要が高まり、官窯だけでは生産が追いつかなくなります。
そのため官窯の原材料の一部を提供し、民窯で一部の陶磁器を焼かせる「磁器官民合同方式」を行うようになり、それに伴って民窯にも技術が流れ大きく発展していきます。

清時代(1616〜1912年)

こうして発展した景徳鎮は清時代もまた康煕19年(1680)にも官窯を設置しました。
官窯で作られたものには底面に「大清乾隆年製」と銘が入れられ、白磁や青花は現代でもコレクターの間で大変貴重なものとして取引がされるほどです。
民窯とともに大きく繁栄しながら、中国の陶磁器の歴史において極めて重要な地位を獲得します。

景徳鎮の世界への影響

景徳鎮は元代から明代の頃に世界各国へ輸出され、世界中の陶磁器に影響を及ぼします。
隣接する朝鮮半島では李氏朝鮮時代初期から中期にかけて、景徳鎮の白磁に強い憧れを持ち、官窯で白磁と青花が焼かれます。

分院白磁青花

朝鮮・李朝官窯の分院で焼かれた青花

日本においても有田焼・伊万里焼の染付も朝鮮半島を経由し景徳鎮の影響が及びます。
17世紀にはヨーロッパ各国で景徳鎮の陶磁器が愛用され、ドイツでは景徳鎮などをモデルとした「マイセン」が始まります。
このように景徳鎮の技術は世界各国へ影響を及ぼしました。

景徳鎮の陶磁器の特徴

景徳鎮は歴史が長く、様々な陶磁器が作られます。
代表的なものは白磁、青白磁、青花、五彩の陶磁器などがございます。
共通しての大きな特徴は高嶺土(カオリン土)と呼ばれる白い土を使用していることです。

景徳鎮の土:高嶺土とカオリンとは

景徳鎮の陶磁器に使われる土は景徳鎮郊外の高嶺(カオリン)山から取れる高品質な白い土を原料としています。
カオリン山にちなんでこの土を高嶺土と呼ばれるようになります。
高級磁器素材のカオリンを含んだ土で鉄分の含有量が低く、粘性と耐火度が高く、繊細な白磁にとても適しています。
世界の焼き物が800度から1200度を超えると崩れるのに比べ、高嶺土は1300度以上の高温で焼くことができ、硬い磁器を焼くことができました。
当時はカオリンを含んだ土は主に景徳鎮でしか発見されず、世界中の憧れの的でした。
高嶺山の中国語の発音であるカオリンをとって磁土の科学名はカオリナイトの語源となりました。

青白磁(せいはくじ)

景徳鎮 白釉蓋付き鉄斑壺

白磁の一種で釉薬にうっすらと青みがかかったことから青白磁と呼ばれます。中国では月光を浴びた青に例えて「影青(いんちん)」とも呼ばれます。
宋代から作られ、素地が純白で透明釉の中にごく微量にに含まれる鉄(0.2%〜0.3%)が強力な還元炎で焼成されることで第二酸化鉄が第一酸化鉄に還元され、薄い青色を呈します。
青磁と同じ原理であるが、素地の違いと色味が気品を漂わせ、全く別物になります。

白磁(はくじ)

白磁は唐代より主に作られ時代により白さが変わります。
唐代のころはやや黄色く、元代以降になると高嶺土に陶石を混ぜるようになり、素地はより白くなります。
上から透明釉を掛けるにより純白の釉調を呈します。

青花(せいか)

青花 山川紋菜箙瓶

白磁に酸化コバルト顔料(呉須)で下絵付をした陶磁器です。主に現代以降に作られます。
景徳鎮の青花は白磁の素地を形成したのちに、素焼きせずに酸化コバルト顔料で絵付をし、その後上から透明釉をかけて焼成をします。
このコバルト顔料は焼成前は灰青色ですが、焼成すると色が変化し鮮やかな青色が発現します。
描かれる絵は時代により様々ですが、鳳凰、龍、花といった古く中国から使われているものから、器面を活かし山川、建物、人物などがございます。
日本では染付(そめつけ)とも呼ばれます。

五彩(ごさい)

白磁に赤、緑、黄、青、黒の釉薬で下絵付を模様を描いたものです。
主に明代にて発達をしました。
その多彩を活かした絵付がされ、龍や鳳凰はもちろん、鳥や魚などの柔らかな印象の絵も描かれます。
日本では赤絵(あかえ)とも呼ばれます。

当館おすすめの景徳鎮の陶磁器

青花 山川紋菜箙瓶

Blue-and-white porcelain bottle

中国の清時代の大清乾隆年製の青花の瓶であり、とても精巧で均整の取れた器面には大きく山川図が描かれます。
細い線で山肌と松の木が細かく描かれ、濃淡により立体感が付けられます。
正面は技巧的に細かく描き、背面は空白を用いて船を描いており、水墨画のようです。
底に大清乾隆年製の銘が入ります。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

景徳鎮 白釉蓋付き鉄斑壺

景徳鎮 白釉蓋付き鉄斑壺

宋代に作られた景徳鎮の白磁で、やや青みがかった釉薬で青白磁ともいえます。
全体に鉄を含んだ釉薬で描かれた斑点はどこか現代的なデザインです。
ナスのような器形であり、上部には綺麗に嵌る蓋がつけられます。

↓この陶磁器の詳細はこちら↓

さまざまな白磁・染付を見るなら陶磁オンライン美術館で

白磁の一覧

当オンライン美術館では景徳鎮以外にも白磁や絵付の美術品を多数掲載しています。
定窯や九谷焼といった名窯の陶磁器は景徳鎮とどう違うのか、陶磁器をより知りたい方はご覧いただくことをオススメいたします。

伊山大策

伊山大策

名古屋ビジュアルアーツ写真学科在学中より瀬戸焼の陶芸作品撮影を続ける。11年前に愛知の古美術研究にて陶磁器の知識を学ぶ。写真スタジオに3年勤務したのち、広告やWEBサイトの制作を手掛けその経験を活かし、古陶磁美術品の良さを広めるために当サイトを開設いたしました。

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