宋代の曜変天目茶碗はとても数が少なく、日本の国宝としての三点あり、世界にも確証的なのは破片がある程度です。
このように幻かのように語られる曜変天目茶碗ですが、実は現代の陶工により作られるようになっています。
そんな現代の曜変天目について、現代陶芸家の一人である瀬戸毅己氏の作品と共にご紹介いたします。
天目茶碗の再現
建窯の天目茶碗の再現は、日本では鎌倉時代末期(14世紀初め)から室町時代に瀬戸窯・美濃窯などで行われていました。
これは喫茶の風習が広がり、天目茶碗の需要が増えたことによります。
そのため厳密な再現ではなく、建窯の天目茶碗を参考にした独自の天目茶碗に近く、土や釉薬などはその頃から瀬戸窯・美濃窯にあるものを使用しております。
その後、茶の湯で使用される茶碗の種類が多様化していき日本での製造は数が減少していきます。
大正時代末頃より中国趣味が流行し、昭和時代の初期ころに本格的に建窯の天目茶碗の再現が試みられます。
京都の陶工らにより油滴天目や曜変天目の再現がなされ、河井寛次郎氏と石黒宗麿氏らがこの頃の代表的な陶芸家として挙げられます。
河井氏により釉薬の中期頃に天目釉の基礎ができ、その後の作家の釉薬にも大きな影響を与えます。
石黒氏は曜変天目には再現性があると考え、その当時の技術を駆使し、曜変天目の再現を試みた陶芸家です。
石黒氏は曜変天目を再現は叶わなかったもの木の葉天目の再現や天目釉の研究により「鉄釉陶器」の技術保持者として人間国宝に認定されております。
1950年以降には石黒宗麿氏に師事した清水卯一氏がこの頃の天目茶碗を先導し、京都以外にも瀬戸や有田の陶芸家が活躍いたしました。
曜変天目の再現
天目茶碗の斑紋の中でも禾目や油滴は再現ができていても、曜変天目は確証的なものが再現できておりませんでした。
そのため1990年代後半以降から天目茶碗の再現は曜変天目が中心となっていきます。
新たな作家が台頭し、それぞれが独自の技法で曜変天目茶碗の再現を試みます。
その当時の最新技術でできる曜変天目を制作する作家、中国の南宋時代の技術・技法を研究し探究しできる限り同じ技法で曜変天目を再現を試みる作家などさまざまでした。
現代の曜変天目茶碗の特徴
現代の曜変天目茶碗は宋代の再現にとどまらず進化をしています。
その特徴的な斑紋を生かしてさまざまな曜変天目が作られ、世界的にも高評価を受けております。
例えば、青主体の曜変模様を斑紋の色を別の色で表現する、外側を他の釉薬にするといった表現がされます。
天目形ではない碗の形してみたりなど、作家独自の曜変天目が生まれます。

現代作家 瀬戸毅己氏の作品の中で虹彩が鮮やかな曜変天目
他にも現代の点茶で使いやすいように形状を少し変えるなど、現代のアップデートは細かいところにもされています。
作品という観点だけでなく、実用品として使うことも考えられているのが現代の曜変天目の特徴と言えます。
天目茶碗で、お茶を飲むことができるのはとても贅沢な体験です。
現代陶芸家:瀬戸毅己氏の曜変天目茶碗
瀬戸毅己氏の曜変天目茶碗のお写真をご提供いただけましたので、ご紹介をさせていただきます。
氏の作品は主に静嘉堂文庫美術館の稲葉天目を参考にしており、青色を基調とした虹彩と斑紋が出る天目茶碗が特徴です。
窯内の環境の違いで、さまざまな斑紋や虹彩が現れることも曜変天目の魅力です。
曜変天目茶碗

作品1:虹彩が青だけでなく、淡い緑色など多色に発色しています。反射することで虹色に美しく輝きます。

作品1:外側にも見込みのような斑紋とわずかな虹彩が現れます

作品2:細かい斑紋に、目を惹く鮮やかな青い斑紋が細かく入っております

作品2:外側にはオーロラのように青い虹彩が入り、曜変天目でもさまざまな違いがあることがわかります。

作品3:同じ青の斑紋でも輝き方や彩度、模様の輝きで全く違う天目茶碗になります

作品3:外側は天の川のような細かい模様が出ております

作品4:虹彩が特に色とりどりな作品です

作品4:天の川のような細かな模様だけでなく、斑紋も出ています
見込みの模様と外側の模様によりさまざまな景色があり、その中から好みの作品を探せるのも現代の曜変天目の魅力です。
瀬戸毅己氏の曜変天目茶碗は展示会や取り扱い店にてご購入いただける機会がございます。
気になる方はホームページまたはSNSをご確認いただき、足をお運びくださいませ。
作家プロフィール
瀬戸毅己(SETO TAKEMI)/紫陽花窯
’58 神奈川県小田原市に生まれる。
’81 東京造形大学彫刻科卒
’82 愛知県立窯業訓練校修業 *このころ志野について研究を始める。
’92~’05 戸板女子短期大学講師 *このころ黄瀬戸の研究を始める。
’96~’03藤沢LNOFS(雀庵)にて個展 *このころから青磁、天目について研究を始める。
’02日本経済新聞10月19日号に天目 掲載
’04~京王百貨店新宿店にて個展
’05 炎芸術No81に天目掲載
’07 朝日新聞2007年6月17日号に曜変天目掲載
‘09,11,14,以後隔年にて 横浜高島屋にて個展
’17 炎芸術No131に天目掲載
‘22,25 大阪髙島屋にて個展
‘18,19,以降隔年 しぶや黒田陶苑にて個展
’18 別冊炎芸術「天目」に天目掲載
′20 東洋陶磁美術館 天目展にて展示される。
′21,24 日本橋三越にて個展
現在 東洋陶磁学会会員
神奈川県足柄上郡中井町在住





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